不妊の検査について

不妊症の特殊検査

⑪ 染色体検査

← →

不妊症の検査として「染色体検査」を行う事はそう多くありません。その理由として以下の事があげられます。

  1. 検査費用が高価である事
  2. 異常が出ても治療が無い事
  3. 遺伝カウンセリングが必要である事
  4. 検査実施時期の見極めが難しい事

実施時期、実施すべきケース

どういう場合に検査をすべきか?もちろん染色体検査は初診時に行う検査ではありません。また不妊のスクリーニング検査にも入っていません。位置づけとしては、かなり特殊な検査と言えます。検査を勧めるタイミングが難しい検査です。以下のような場合に検査を勧めています。

習慣性流産(不育症)

習慣性流産のカップルの約5.5%にいずれかが染色体異常を有していると言われています。これは一般の頻度の約10倍といわれています。

無精子症、高度の乏精子症

無精子症の13%、高度乏精子症の6.4%に染色体異常が認められます。
無精子症では性染色体異常が、高度乏精子症では常染色体異常が多く認められています。

無月経(早発閉経を含む)

無月経の場合には染色体異常の可能性がかなりの確率で高くなります。原発性無月経(一度も生理が無い事)の場合には20~30%に認められます。続発性無月経(途中から生理が無くなる事)でも10%程度に認められます。特に早発閉経といって若いにもかかわらず月経がなくなる場合は約15%にX染色体の異常が認められます。

体外受精開始時

体外受精開始時にスクリーニングとして染色体検査を行っているクリニックはあると思います。体外受精を受ける段階に進んだ女性では染色体検査に異常が出る率は約4.0%程度といわれています。

検査を行う際に必要な事

検査を行う上で遺伝カウンセリングの知識が大切になります。
理想は二人同時に検査をする事が望ましいと言えます。また検査結果も二人に同時に伝える事が望ましいと思われます。またもし結果に異常が出た場合にどのように伝えるか、どちらに伝えるか等を十分に確認しておく必要があります。
以上染色体検査についてまとめましたが、染色体異常の一般頻度は、新生児の調査で0.84~0.92%となっています。この基準値と比較して、どの程度異常率が高くなるかを考えながら検査を進めていく事が必要となります。

11/12 page

← →