不妊の検査について

不妊症のスクリーニング

④ フーナー検査

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フーナーテストは一般不妊検査の中で最も大切な検査の一つと言えます。

排卵時期に性交渉を行いその12時間以内に来院してもらいおりものの中の精子の数と動きを見る検査です。この検査から精子の濃度や運動率が大体予測できます。また精子とおりものの相性も判断できます。もちろんタイミングを取っているので妊娠にもつながっているため非常に有用な検査と言えます。フーナー検査で妊娠する「フーナー妊娠」というのも度々あります。

この検査の難しい点は検査時期を正確に決めないと正しい結果が出ないという点です。排卵1~2日前でないとおりものが少なく、おりものの性状も精子を受け入れるにはふさわしくないため、時期を誤るとフーナーテストの結果が不良となってしまいます。
そのため検査結果が不良の場合には一度の検査では確定せずに複数回行う必要があります。複数回行っても不良の場合には、精液検査や抗精子抗体検査を行います。精液検査にて乏精子症や精子無力症が認められる場合には、人工授精、体外受精、顕微授精へとステップアップします。

抗精子抗体が陽性の場合には抗対価を測定して、その値により人工授精、体外受精、顕微授精へのステップアップを検討します。
以上フーナー検査について一般的な説明をしましたが、フーナー検査の結果からどのように今後の治療方針を決めるかが最も大切になります。つまりフーナーの結果と不妊期間から今後の治療方針をどのように判断するかがとても大切となります。大切なので例を挙げて説明します。

不妊期間3年、フーナー結果良好

「フーナーの結果良かったので安心して下さい、自然にできますよ。」
これは間違いです。フーナーが良ければとっくに妊娠しているはずです。他に問題があると考えるべきです。卵巣や卵管周囲に癒着があるとか受精障害があるとかを疑って早期に体外受精にステップアップすべき症例です。もちろん腹腔鏡検査も有効と言えます。

不妊期間6カ月、フーナー結果良好

他に不妊原因が無い場合は十分自然妊娠が期待できます。

不妊期間2年、フーナー結果不良

免疫因子が疑われるため抗精子抗体を定量し、その結果によりAIH、ARTへのステップアップが必要となります。

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