基礎体温測定は不妊検査の中で最も基本的で大切なものと言えます。基礎体温を測定すると主に以下の事がわかります。
排卵時期
WHOによる基礎体温の定義では、排卵日は以下の4種類のパラメーターが存在しています。
基礎体温パラメーター | 一致率 |
---|---|
最低低温日(nadir) | 51.8% |
体温陥落日(dip) | 56.3% |
低温最終日(coverline) | 62.5% |
高温相初日(first day of BBT rise) | 26.8% |
一般的に排卵日といわれているのは低温最終日です。最低体温日とは異なります。排卵日1~2日前が最も妊娠しやすいといわれています。そのためa~cの間が最もチャンスが高いと言えます。ただ基礎体温からだけでは正確には排卵時期はわかりません。高温相でもまだ排卵していない場合や、低温相でもすでに排卵済みという事もあります。やはり超音波検査やホルモン検査も併用して排卵日を正確に診断する必要があります。
黄体機能の診断
排卵後に体温が上がる仕組みですが排卵後卵胞が黄体に変わります。黄体から分泌される黄体ホルモン(プロゲステロン)が脳の視床下部の体温中枢に作用して体温が上がります。そのための濃度は3~5ng/ml以上必要です。高温相が10日未満の場合は黄体機能不全ということになります。また低温相から高温相に移行するのに4日以上要する場合も黄体機能の異常が疑われます。その際は高温相の中間期に採血をしてプロゲステロンの濃度を測定する必要があります。
排卵しているかどうか
基礎体温が2相性を示して、低温相と高温相差が0.3℃以上であれば排卵していると判断して良いと思います。つまり過去の基礎体温をみれば排卵していたかどうかは大体わかります。ただここで気をつける事として黄体化未破裂卵胞LUFがありますので、たとえ高温になったとしても排卵していないというケースもあります。
妊娠の診断
妊娠が成立すると高温相が持続して生理が来なくなります。このように基礎体温から妊娠をある程度予測する事が可能になります。黄体には寿命があり、ほぼ14日間と決まっています。妊娠が成立しなければ黄体は萎縮しプロゲステロンが減少して子宮内膜を維持する事が出来なくなり生理がきます。妊娠すると黄体は妊娠黄体となり委縮せずにプロゲステロンを出し続けるために高温相が維持されます。
そして何よりも大切なのは治療に対する意識が高まるという事です。余白欄に色々な情報も書き込めます。不正出血、生理痛、性交渉の日等を書き込み、後日見返せるようにしておくことが大切です。色々な事を書き込む事のメリットとして、例えば妊娠した場合に排卵日が不規則であった時、性交渉をした日から予定日を計算することもできます。