不妊症の原因の一つとして、子宮因子があります。子宮因子とは、子宮内腔に何らかの妊娠しない異常がある事をいいます。初診の際に経膣エコーは全例に行っています。その際に必ず子宮内部の内膜を観察しますが、子宮内膜ポリープや粘膜下筋腫が見つかる事があります。ただ小さいポリープや小さい筋腫は見えにくく見過ごされてしまう可能性があります。特に排卵後の内膜が厚い時期だと見えにくくなります。子宮内腔の評価としてはエコーや卵管造影よりも直接観察できるため子宮鏡のほうが優れています。
不妊症の子宮内腔のスクリーニングという意味で子宮鏡を見ておくメリットは大きいと言えます。外来で簡単に行う事が出来ます。直径3ミリのファイバースコープを子宮口から子宮内に入れ、水を注入して内部を観察します。痛みはありません。外来にて数分で行う事が出来ます。もちろん日帰りです。行える時期は卵管造影と同じで生理終了直後です。
子宮鏡検査によりどういう事がわかる?
検査結果が少しあいまいな感があります。通っていたとしても確実ではなく、通っていなかったとしても確実ではない。お腹に造影剤が残るし、しかも少量ですが被爆します。やるかやらないかは慎重に判断すべきです。結局のところはやるべきかどうかはケースバイケースと言えます。
子宮内膜ポリープ
エコーでは見落としてしまうような小さいものでも子宮鏡では見つける事が出来ます。小さいものでも発生場所によっては着床の障害になるため取り除く必要があります。
粘膜下筋腫
これもエコーでは見逃すケースがあります。小さいものでも内腔へ突出している場合は着床の妨げになるため手術が必要です。あらためてオペを予約して経膣的に摘出術を行います。
子宮内腔癒着
癒着に関してはエコーではわからないため子宮鏡が唯一の診断方法になります。癒着は過去に流産手術を行った事がある場合等に出来る事があります。子宮鏡で見て内腔に癒着ある場合は剥離をする必要があります。
中隔子宮
先天性の子宮奇形になります。子宮奇形による不妊は稀です。しかし習慣性流産との関係はあると言われています。これもエコーでは見つけにくいものです。
子宮内膜異型増殖、内膜癌
増殖性の疾患や悪性についても見つける事が出来ます。
今まで複数回良好胚を移植しても妊娠しないそういう場合には、一度子宮鏡を見ておく事をお勧めします。見てみると小さいポリープがあって、それを取り除いた後初回の移植で妊娠するケースも度々あります。