腹腔鏡検査とは全身麻酔下に直接お腹の中に細いカメラを入れて腹腔内を観察する事です。
腹腔鏡検査を行う適応
- 卵管造影検査にて異常所見を認めた場合
- クラミジア抗体が陽性の場合
- 一連のスクリーニングを終えても原因不明の場合
腹腔鏡検査のメリット
- 1 )傷が小さい。(小さい穴3個で行えます)
- 2 )入院期間が1泊2日と短い。
- 3 )痛みが少ない。
- 4 )癒着が出来にくい。
- 5 )保険が通る。
- 6 )細かい所まで観察できる。
- 7 )直接観察できる。
- 8 )異常があれば同時に治療もできる。
- 9 )社会復帰が早い。
腹腔鏡検査で出来る事
卵管周囲癒着の治療
卵管造影検査で確認できない卵管周囲癒着に対して直接観察できるためその威力は比較にならなくとても大きいです。しかも異常があれば癒着剥離術をその場で行う事が出来ます。これにより卵のピックアップ障害も瞬時に改善できる事になります。
卵管通色素
卵管通色素検査といって卵管内に青い色素を流し通過しているかどうか直接確認する事が出来ます。また同時に卵管内に大量の生理食塩水を流し卵管内を洗浄する事が出来ます。
腹腔内の洗浄
腹腔内を大量の温生理食塩水で洗浄することで腹腔内の環境が改善され妊娠率の向上が期待できます。(サイトカインの除去が可能になります)
初期の子宮内膜症への対応
子宮内膜症の初期病変はエコーでは見つける事が出来ません。しかし腹腔鏡の場合は内膜症の初期病変でも容易に見つける事が出来、かつその場で除去して治療する事も出来ます。不妊症患者に腹鏡検査を行うと約3割程度も内膜症が認められるとの報告があります。そのため内膜症の進行を防止する事が出来ます。またチョコレートのう腫も同時に摘出する事が出来ます。
卵管水腫
卵管開口術を行う事が出来ます。卵管水腫があると着床しにくい事は多数報告されています。
多嚢胞性卵巣症候群
クロミッドなどでの内科的治療に苦慮する事が多いこの病気も、腹腔鏡の際についでにドリリング手術を行う事が出来ます。それにより高率に排卵障害等の改善が期待できます。
以上、腹腔鏡検査には数えきれないメリットが存在します。特に卵管性不妊や原因不明不妊に対しては診断だけでなく同時に治療も行え、その効果が高いため、早期に行う事が肝要と考えられます。